近年ではAI (人工知能)によるダイヤ編成や乗客対応など、鉄道業界でもデジタル化が進んでいることもあり、世界の鉄道市場は成長が見込まれています。どのような成長要因があるのか、鉄道市場の現状や将来性について解説します。
海外の調査会社「Fortune Business Insights 」によると、世界の鉄道市場規模は2019年時点で407億1,000万ドル(約5兆7,401億円)です。2027年には529億2,000万ドル(約7兆4,617億円)に達する見込みであり、2020年〜2027年までの年平均成長率は10.4%と予測されています。
特に成長が期待されているのは、高速輸送車両 のセグメントです。高速輸送車両は人やモノの輸送能力が高く、例えば日本で開発が進められているリニア中央新幹線 は、一編成で約1,000人を輸送できると言われています。
アジア太平洋地域では、中国やインド が成長市場として注目されています。
中国 はデジタル技術を用いた高速鉄道ネットワークの構築によって、高速走行距離を3万8,000キロまで伸ばすことを目指しています。既存のインフラを含めた改善計画が進められているため、鉄道の輸送能力が格段に向上する可能性があります。
インドでも高速鉄道 や駅周辺の開発 など、ユーザーの利便性を高める取り組みが行われています。
鉄道市場の成長要因として、まず「デジタル技術の進歩」が挙げられます。
西ヨーロッパで最大規模のドイツ鉄道 は、AIに対応したデジタルツイン(※)を活用することで、路線状況の高度な管理を可能にしました。米国や台湾などでは、無人運転車両を実現するための取り組みも進められています。
また、自動車の需要が伸びたことによる「交通渋滞」の発生も、鉄道市場の成長を後押しする要因です。交通渋滞の多発エリアでは輸送のコスト効率が下がり、さらに環境面への影響も懸念されるため、高速輸送車両がより注目される と考えられます。
(※)現実世界で収集したデータを、コンピュータ上で再現する技術。
鉄道市場の成長率などを踏まえると、鉄道関連の企業への投資を選択肢の一つとして検討してもいいかもしれません。世界的にデジタル化やインフラの拡大を目指しており、日本でも新しい技術の開発が進められています。引き続き情報を収集しながら、鉄道市場の動向を確認してみましょう。
※為替レート:1ドル=141円
※本記事は鉄道市場に関わる基礎知識を解説することを目的としており、鉄道関連の資産への投資を推奨するものではありません。