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(画像=yasuyasu99/stock.adobe.com)

NFTの未来と多様な分野に広がるポテンシャル

NFT(Non-Fungible Token/非代替性トークン)とは、ブロックチェーン技術を活用して「唯一無二」の価値を証明するデジタルデータのことです。

NFTアートの爆発的な人気を追い風に急成長を遂げた2021年と比べると、現在のNFT市場は失速が鮮明になっていますが、NFTは活用の幅が広がりつつあります。今後、多様な分野において重要性が増すポテンシャルを秘めたNFTの将来性に迫ります。

NFT市場の動向

2021年夏頃 から熱狂的な盛り上がりを見せたNFT市場ですが、2022年後半は大きく失速しました。2022年6月の取引量は、同年1月のピーク時の約12分の1へと落ち込みました。世界的なインフレや利上げ、景気後退への懸念、それに伴う暗号資産の大幅な下落などが失速の要因として挙げられます。

一方で、2022年通年の取引量はおよそ247億ドル(約3兆3,098億円)と前年(※)からわずかな減少に留まったことが、Dapps(分散型アプリケーション)ランキングサイト「DappRadar 」のデータから明らかになっています。

(※)2021年の取引量は合計251 億ドル(約3兆3,634億円)。

NFTゲームプラットフォーム「Balthazar(バルタザール)」のデータによると、2023年第1四半期 は前四半期比84.2%増と好調な滑り出しでしたが、通年の取引量は39%減少する見込みです。

多様な分野に広がるNFTのポテンシャル

NFTには「代替が不可能で唯一性がある」「物理的な破損や紛失のリスクがない」「誰でもデジタル資産を作成・取引できる」という特徴があります。このようなNFTの特徴を活かした、デジタルアートやゲーム、チケット販売などが実用化されています。

最近では以下のような分野においても活用の幅が広がっており、NFT市場のさらなる成長を後押しすると期待されています。

NFT市場1.不動産

不動産はNFTの活用が進んでいる分野で、活用法は主に2種類あります。

1つ目は、実物の不動産・土地を法定通貨や暗号資産で購入し、所有権をNFT化するというものです。2017年に世界初のNFT実物不動産取引を行った米オンライン不動産取引プラットフォーム「Propy (プロピー)」は、スマートコントラクトで取引を自動化し、所有権をNFT化するシステムを採用しています。同社は2021年の時点で1,000件以上、総額10億ドル(約1,340億円)を超える取引を記録しました。

2つ目は、NFTを活用して仮想空間上の不動産・土地の取引を行う「メタバース不動産」です。仮想の世界とはいえ、現実の不動産と同じように価格が変動し、売買を行えます。

NFT市場2.金融

有価証券を含む資産のトークン化 が進んでいる現在、融資にNFTを活用する動きが見られます。

例えば、融資の担保としてNFTを活用するためのプロジェクト 「 Flowty(フローティ) 」があります。Flowtyではユーザー同士が貸し手と借り手となることで、分散型の融資を実現しています。ただし、NFTを融資に活用した場合は、不安定な市場の影響を受ける可能性があります。

NFT市場3.サプライチェーン

不透明で非効率なサプライチェーン(供給網)のトレーサビリティ(追跡)や管理システムの向上に、NFTを活用する取り組みも進んでいます。

現実の世界の商品とタグ付けされ、商品の追跡を可能にする「Phygital NFT(フィジタルNFT) 」も開発されており、サプライチェーンの透明化やトレーサビリティの強化、偽造品の流通の防止などに役立っています。

さらなる発展に向けた課題

このようにNFTの活用が広がる一方で、以下のような課題も指摘されています。

セキュリティの向上

他のデジタル資産と同様に、NFTにはハッキングや詐欺のリスクに晒されています。NFT市場の成長とともに関連犯罪も増加 しており、セキュリティ面での課題が浮き彫りになっています。

規制環境の整備

国・地域によって取り組み方は異なるものの、日本においてはNFT関連の規制環境が十分に整っておらず、NFTの法的位置付けも明確ではありません。そのため、ハッキングや詐欺といったトラブルが生じた場合は、NFTマーケットプレイスなどが適切な対応を取ってくれないリスクがあります。

価格の安定化

ボラティリティが大きく、価値が安定しない点も課題の一つといえます。特に担保として活用する場合、価格変動は担保価値に大きな影響を与えます。さらなる発展に向け、このような課題を解決していくことが重要です。

まとめ

NFTの未来は可能性に満ちています。ブームが一段落したことによってNFTの真のポテンシャルが開花し、より広範囲な活用方法や投資の機会が創出されると期待されています。一方で、NFTの利用者はメリットやポジティブな可能性だけに目を向けるのではなく、デメリットや課題についても理解を深めることが大切です。

Wealth Roadでは、今後もNFTの動向をレポートします。

※為替レート:1ドル=134円
※上記は参考情報であり、特定の株式・暗号資産の売買及び投資を推奨するものではありません。

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