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ESGの新トレンド 投資家が注目する「DEI Tech」とは?
(画像=Deemerwhastudio/stock.adobe.com)

投資家が注目するESGの新トレンド「DEI Tech」とは?

2023年のESG (環境・社会・ガバナンス)の重要課題として、DEI(Diversity, Equity, and Inclusion/多様性・公正性・包括性)への注目が高まっています。DEI関連の市場規模は2026年までに2兆円に達することが予想されており、その成長をさらに後押しする存在として「DEI Tech」が台頭しています。

DEIとは?

DEIは、「職場において一人ひとりがお互いに敬意を払い、組織への帰属意識を高めることにより、誰もが成長できる公平な労働環境を作る」という概念です。実現することによって従業員の満足度が向上し、全ての労働者が能力と生産性を最大限に高められると期待されています。

2023年1月16日から18日まで、スイスで開催された世界経済フォーラム(WEF)の年次総会「ダボス会議2023」においても、DEIについて議論が交わされました。

しかし、その進歩は遅々としており、課題は山積みです。例えば、世界経済フォーラム(WEF)の『Global Gender Gap Report (グローバル男女格差レポート)2022』によると、女性の社会進出や管理職への昇進、男女賃金格差の解消を求める声が高まっているにも関わらず、「世界の経済的な男女格差が解消されるまでに、あと151年かかる」とされています。

DEIへの実質的な取り組みが停滞している理由として、「DEIを理解できていない」「取り組み方がわからない」などが挙げられています。このような現状を打破するためには、DEIの表層だけではなく深層への理解を組織全体で深める機会を設けて、具体的なロードマップを実践に移すための指針が不可欠です。

ESG投資の機会としても注目

その一方で、DEI関連の取り組みに対する投資は急速に拡大しています。McKinsey & Company(マッキンゼー&カンパニー)の分析によると、世界の企業は2020年時点でDEIへの取り組みに推定75億ドル(約9,675億円)を投じており、その規模は2026年までに154億ドル(約1兆9,866億円)に増加する見込みです。

「DEIへの取り組みは持続的な成長に欠かせない要素」という企業文化が世界規模で広がるにつれ、個人投資家間においてもESG投資対象としての注目度が高まることが予想されます。

注目の米国発DEI Tech

投資の拡大とともに、DEI分野の発展を力強く後押しする存在として、テクノロジーを活用して包括的な従業員エクスペリエンスの向上を図る、DEI Techへの注目が高まっています。以下、3つの米DEI Techの取り組みを見てみましょう。

DEI Tech 1.Eskalera(エスカレラ)

「インクルージョンは成功への究極の投資」をスローガンに掲げるEskaleraは、包括的な企業文化の構築を通して従業員一人ひとりの能力を最大限に引き出し、組織の成長を促すことに重点を置いたDEI推進をサポートしています。

同社のプラットフォームは独自の分析方法で、組織のDEIレベル(帰属意識・成長意識・信頼・発言力)を測定することで、企業が直面している課題や従業員の能力を最大限に引き出すために必要なスキルを知ることができます。測定結果に基づいてカスタマイズされた学習ツールを提供しているので、従業員の成長も支援できます。

DEI Tech 2. Mathison(マティソン)

Mathisonが開発した総合DEIプラットフォームは、従業員のDEI意識の向上やダイバーシティ推進など、組織全体のDEI の取り組みを成果につなげることを目的としています。同社のツールは、顧客の過去の雇用・昇進データからDEI目標を達成する上で必要なロードマップを提案し、実際の進捗状況を評価します。

その他にも、応募者のスキルや経験をDEIの観点から分析し、面接やSNSの投稿などで偏見や矛盾のある言葉を使用していないかチェックするスキャニング機能、採用活動における公平な指針を設定するに役立つHR向けDEI トレーニングツールなど、多様なサービスを提供しています。

DEI Tech 3. Helpr(ヘルプル)

女性の社会進出が進んでいるとはいえ、多くの国において「家族の介護や育児のために離職をする人の割合は、男性より女性のほうが圧倒的に多い」というデータが報告されています。

Helprは性別や年齢を問わず、ジェンダー不平等による介護・育児離職率を下げ、従業員の生産性と満足度の向上を支援する個人および企業向けサービスを提供しています。Helprは雇用主と提携して介護士やチャイルドマインダー(家庭保育士)が必要な従業員向けに個別のケアプランを作成し、従業員は専用アプリ経由で厳格な身元審査を受けた介護士やチャイルドマインダーを探すことができます。

オンデマンド型(※)の料金設定なので利用しやすく、DCFSA(介護・育児補助金受取口座)から直接料金を支払うことができます。

(※)ユーザーが好きなときにサービスを受けられる方式のこと。

企業が持続的な成長を維持する上で避けて通れない課題

DEIへの取り組みは、SDGs (持続可能な開発目標)を達成する上で欠かせない課題であると同時に、企業が持続的な成長を維持する上で避けて通れない課題でもあります。事業の規模を問わず、企業が重要な転換期を迎えている現在、投資対象としてもさらなる成長が期待されている分野です。Wealth Roadでは、今後もDEI市場の動向をレポートします。

※為替レート:1ドル=129円

※上記は参考情報であり、特定企業の株式の売買及び投資を推奨するものではありません。

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