国際通貨基金(IMF)のレポート(※)によると、世界のインフレ率は2023年に6.5%、2024年に4.1%まで減速する見込みです。日本のインフレ率は世界と比べて高くありませんが、2022年には電気・ガスや日用品、食品などが相次いで値上げされました。
このような時代に考えたいことが、個人資産を守る方法です。本記事ではインフレが個人資産に及ぼす影響や、効果的なインフレ対策などを紹介します。
目次
そもそもインフレとは
インフレとは、サービスやモノの値段が上がる現象です。例えば、これまで100円で買えていた商品が150円や200円になる現象であり、インフレが進むほどお金の価値は相対的に下がります。
近年のインフレは、原材料やエネルギー価格の上昇が要因の一つとされていますが、インフレには他にも多くの要因があります。増税や需要の増加なども物価高を引き起こす要因になるため、複数の要因が絡み合ってインフレにつながることもあります。
インフレが生活や資産に及ぼす影響
長期的にインフレが続くと、私たちの生活や資産には以下のような影響が生じます。
・通貨の価値が相対的に下がる
・商品やサービスの値段が平均的に上昇する
・労働所得の増加が期待できる
特に注意しておきたいのは、通貨の価値が相対的に下がる点です。インフレが進むと、同じ金額で購入できる商品やサービスが減っていくため、預貯金やタンス預金をしているだけでは資産価値が相対的に目減りしてしまいます。
インフレは今後も続くのか
欧米や日本では2021年から物価が上昇していますが、このインフレは今後も続くのでしょうか。以下のデータは、国際通貨基金(IME)のデータを一部をまとめたものです。
時期 | 世界のインフレ率 |
---|---|
2019年 | 3.5% |
2020年 | 3.2% |
2021年 | 4.7% |
(参照:IMF「World Economic Outlook Database」)
時期 | 世界のインフレ率の予測 |
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2022年 | 8.8% |
2023年 | 6.5% |
2024年 | 4.1% |
(参照:IMF「World Economic Outlook Database」)
上記のデータから分かるように、世界のインフレ率は2019年の新型コロナウイルス感染症が広がる前の水準をしばらく超え続けると予測されています。
個人ができる4つのインフレ対策
インフレが続く可能性もある中、個人ではどのようなインフレ対策ができるのでしょうか。ここからは、インフレ対策として考えたい4つの金融商品を紹介します。
インフレ対策1.株式投資
企業は商品・サービスを売る立場であるため、インフレによる恩恵を受けられることがあります。
例えば電気・ガス業界は、エネルギー価格の上昇に合わせて値上げをしやすいため、インフレによって業績を伸ばす企業も存在します。また、急激に円安が進んでいる局面では、相対的に日本円の価値が下がるのと同時に外貨の価値が上がるため、外国株への投資も有効になるでしょう。
また、株式投資の主なメリットとデメリットは、以下の通りです。
メリット | デメリット |
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・銘柄によっては株価がインフレ率を上回る ・配当金や株主優待も狙える ・外国株式を含めると投資の選択肢が多い |
・業績が悪化する恐れがある ・価格変動のリスクが大きい ・リスクが高い銘柄もある |
インフレ対策2.投資信託への投資
投資家から集めた資金を一つにまとめ、運用のプロが実際の投資先を決めて運用してくれる投資信託にも、インフレに強い商品は多くあります。
例えば、不動産やコモディティに直接・間接的に投資をするファンドなどがあります。この他にもエネルギーや農作物、貴金属などに投資をする“ファンド”ないしは“投資信託”は、インフレの恩恵を受けやすい資産として注目されています。
また、投資信託の主なメリットとデメリットは、以下の通りです。
メリット | デメリット |
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・少額から始めやすい ・プロが代わりに運用してくれる ・分散投資が期待できる |
・短期の売買には向いていない ・株式に比べると仕組みがやや複雑 |
インフレ対策3.不動産・REITへの投資
建築物や土地などの実物資産は、インフレが進むにつれて価値が上昇する傾向にあります。また、物価の上昇に伴って賃料の値上げもしやすくなるため、リアル資産あるいはリアル・アセットと呼ばれる不動産・REITも効果的なインフレ対策になる可能性を持つ資産といえるでしょう。
ちなみにREIT(リート)とは、投資家から集めた資金で不動産に投資し、その運用益を分配する金融商品です。「不動産投資信託」とも呼ばれており、一つの銘柄でさまざまな不動産への投資ができます。
また、不動産・REITの主なメリットとデメリットは、以下の通りです。
メリット | デメリット |
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・インフレが進むほど価値が上がる ・物価上昇に伴って賃料を値上げしやすい ・REITの場合は分散投資も容易 |
・必要資金が多い ・空室リスクや滞納リスクがある ・自然災害の影響を受けやすい |
インフレ対策4.金などの貴金属への投資
金やプラチナなどの貴金属も、インフレに強いとされる実物資産です。貴金属も不動産と同じく、リアル資産あるいはリアル・アセットの一種です。金に代表されるように貴金属の多くは埋蔵量に限りがあり、世界的にも価値が認められています、また流通網が滞ることもあり、経済ショックや紛争が起こると価格が上がる場合もあります。
最近では差額だけをやり取りするCFDや、ポートフォリオに金を組み入れたETFなどが増えたことから、初心者でも手軽に貴金属投資を始められるようになりました。
また、金などの貴金属の主なメリットとデメリットは、以下の通りです。
メリット | デメリット |
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・インフレ局面に強い ・世界的に価値が認められた資産が多い ・経済ショックや紛争によって価格が上昇しやすい |
・インカムゲインがない ・基本的には為替変動リスクがある |
早めのインフレ対策が大切
インフレは今後も続く可能性があるため、余裕のあるうちに対策を考えておくことが大切です。本記事のような対策を早めに実践すれば、インフレの恩恵を受けられることもあるでしょう。
※上記は参考情報であり、特定資産の売買及び投資を推奨するものではありません。