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市場が混乱する中、世界経済の今後は?

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中国経済は急回復の可能性、その他地域の回復は様々だろう

〔要旨〕

✔2月第4週の株式市場は大きく調整

●中国の経済データは底打ちしたのだろうか?
 —中国の景況感は2月がボトム、その後は中国経済のV字回復を見込む

●景気回復への道筋は各国で異なる模様
 —中国以外の国では新型肺炎の感染が急速に拡大

 —①新型肺炎の世界経済全体に対する影響は短期的なもの、②米国経済のV字回復、③中国株式市場が最も早く反発―などを予想

●資産クラスに与える影響

 —十分な分散投資を推奨

 —①債券よりも株式、②国債よりもクレジット―を選好

2月第4週の株式市場は大きく調整

新型肺炎の大流行に関するニュースが溢れる中、先週の株式市場は大きく調整しました。市場の反応は行き過ぎと考えますが、新型肺炎の不確実性―①感染の容易さ、②潜伏期間、③致死率、④世界で新規感染が落ち着くまでの期間―が依然として高いため、市場の下落がさらに継続する可能性もあるでしょう。

中国の景況感は2月がボトム、その後は中国経済のV字回復を見込む

中国の経済データは底打ちしたのだろうか?

中国国外で感染拡大が見られる一方で、中国の感染拡大は落ち着いているようです。ただし、同国の経済指標は弱含んでおり、特に前週末に発表された購買担当者景気指数(PMI)の悪化は著しいものでした。中国国家統計局が発表した2月の製造業PMIは1月の50.0から35.7に、サービス業PMIは1月の54.1から29.6にそれぞれ低下しました1。しかし、感染拡大を食い止めるために、中国政府が講じた移動制限などの思い切った施策を考えれば、それは予想された結果とも言えます。

私は中国のPMIについては2月がボトムであり、3月は改善に向かうと見込んでいます。その場合、2020年1-3月期の中国の経済成長率が最も低く、その後はV字回復が想定されます。

中国以外の国では新型肺炎の感染が急速に拡大

景気回復への道筋は各国で異なる模様

一方で、中国以外の多くの国では、新型肺炎の感染拡大が急速に進んでいます。各国では感染拡大のスピードを遅らせるために様々な対策を講じていますが、それらは中国政府が取った行動よりも効果が低そうです。

感染拡大の状況によって異なるものの、ほとんどの主要国の経済成長率は、2020年4-6月期あるいはそれ以降まで、大きなマイナスの影響を受ける恐れがあります。その後の景気回復は、感染拡大の期間と各国の政策対応に左右されるため、V字回復だけでなく、より時間のかかるU字回復が見込まれる国などもあり、状況は国により分かれるでしょう。

①新型肺炎の世界経済全体に対する影響は短期的なもの、②米国経済のV字回復、③中国株式市場が最も早く反発―などを予想

現時点では、今後について、以下の動向を予想しています:

■現時点では、新型コロナウイルスが2020年以降の世界経済に大きな影響を及ぼすとは考えていません。この感染が今後、どのような道筋をたどるのかは現段階では不透明ですが、比較的短期的な影響に止まることを想定しています。

■米国では経済が好調に推移する中、V字回復する可能性が高いと考えています。

■株式市場では、中国株式が先んじて反発すると予想しています。他の主要な株式市場については、感染の進行ステージを考えると、回復までにはより時間がかかる見込みです。

■中国政府は、景気を支えるために金融面と財政面での大規模な刺激策を提供しており、他のほとんどの主要国も適切な対応を実施すると予想しています。

■先進国は財政刺激策よりも金融政策を講じる可能性が高そうです。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、2月28日、「米国経済のファンダメンタルズは依然として力強いものの、新型コロナウイルスは経済活動に対してリスクをもたらしている。FRBは、それらの経済への影響を注視している。」との緊急声明を発表しました。これは、FRBが、必要に応じて金融緩和を提供する用意があることを示唆しています。

■気をつけるべきリスクは、感染症の拡大により人々が経済活動をさらに控え、一部の企業の資金繰りに影響が及ぶ結果、クレジットスプレッドが拡大するという信用不安です。政策担当者は、緊急の流動性を提供する必要性が出てくるかもしれません。

十分な分散投資を推奨

資産クラスに与える影響

投資戦略では、リスク資産、特に株式への選好を維持するものの、十分な分散をすべきと考えています。

①債券よりも株式、②国債よりもクレジット―を選好

足下の市場は、引き続き、長期的な上昇局面の途中にあると考えており、私たちは債券よりも株式を、また国債よりもクレジットを選好します。ただし、短期的には、市場の価格変動性(ボラティリティ)の高い状況が続く可能性が高く、投資家は株式やクレジット市場がさらなる圧力にさらされる可能性があることに留意する必要があります。明るいニュースは、米10年国債利回りが、最悪のシナリオを織り込む水準まで低下していると考えられることです。

株式の中では、最初に反発すると見込まれる中国株式や、中国の動向に左右される株式を選好します。また、FRBが適切な政策支援を提供すると予想されることから、米国株式も好調に推移すると見込んでいます。市場が底を打ったかどうかは定かではありませんが、各投資家は、買いの好機を探る準備をするべきと考えます。債券市場では、特に直近の金利低下を考えると、引き続き、ソブリン債よりもクレジットを選好します。不動産を含むオルタナティブ商品への適切な分散投資を、引き続き奨励します。

1.出所:サウスチャイナ・モーニング・ポスト、“Coronavirus: China’s factory activity plunges to all-time low, worse than global financial crisis, February data show”、2020年2月29日。

クリスティーナ フーパー
チーフ・グローバル・マーケット・ストラテジスト

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