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(画像=denisismagilov/stock.adobe.com)

「NFTマーケットプレイス」は次世代デジタル産業への架け橋となるか?

ブロックチェーン技術を活用して、唯一無二の価値を持つデジタル資産・コンテンツの所有権を証明する「NFT(Non-Fungible Token)」。その活用が広がる中、NFTに特化したマーケットプレイスが注目を浴びています。

NFTマーケットプレイスの事例や将来性、投資動向について考察します。

NFTマーケットプレイスとは?

NFTは固有のデジタル資産の所有権証明書や鑑定書として、アートや音楽、コレクターズアイテム、不動産など、さまざまな領域で活用されています。

NFTの普及を後押ししているのは、NFTに特化したマーケットプレイスの存在です。現在、すでに多くのNFTマーケットプレイスがあります。基本的にマーケットプレイスは、以下の3つを行うために設計されたプラットフォームといえます。

1)NFTの製作・発行
2)製作したNFTの販売
3)NFTの売買

NFTマーケットプレイスを介して製作・発行・販売・売買されたNFTのデータは、すべてブロックチェーン上に記録されるため、既存の証明書のように改ざんや複製、紛失の心配がありません。

現在はイーサリアムのブロックチェーン上で発行されるNFTが主流ですが、仮想通貨取引所バイナンス(Binance)が開発した「バイナンス・スマート・チェーン」や、低コストでスピーディーな取引を可能にする「ポリゴン(Polygon)」 などを利用したNFTも増えています。

投資市場動向

新興産業調査企業エメルゲンリサーチ の調査によると、2021年の世界のNFT市場規模は501億ドル(約5兆8,778億円)に達し、2030年までの年平均成長率が10.7%のペースで拡大すると予想されています。

NFT市場が急成長を遂げた理由として、コロナ禍でブロックチェーンを基盤とする投資対象 への関心が高まったこと、投資家からクリエイター、ゲーマーまで、幅広い層がNFT市場に参加していることなどが挙げられます。

大手企業が続々と市場に参入するなど、NFTマーケットプレイスへの投資も活発化しています。

2021年には、アマゾンがNFTスポーツトレーディングカードのマーケットプレイス「ディブス(Dibbs) 」、金融機関向け国際決済システムのリップル(Ripple) がシンガポールのNFTマーケットプレイスの「ミンタブル (Mintable)」の資金調達ラウンドに参加しました。

どちらも設立からわずか数年間で、それぞれ1,580万ドル (約18億5,368万円)、1,300万ドル(約15億 2,518万円)を調達しています。

リップルは将来、ミンタブルのプラットフォームに自社の分散型台帳である「XRP Ledger」を導入する予定です。これにより、低コスト・低エネルギー消費のNFTマーケットプレイスが実現すると期待されています。

代表的なNFTマーケットプレイス

NFTマーケットプレイスは、需要の高まりとともに多様化しています。ここでは、注目のNFTマーケットプレイスを3つ紹介します。

オープンシー(OpenSea)

NFTアートの巨匠ビープル(Beeple)の作品など、多くの高額デジタルアイテムを取り扱う、世界最大規模のデジタル・マーケットプレイスです。2022年1月には資金調達ラウンドで3億ドル(約351億円)を調達し、評価額が133億 ドル(約1兆5,600億円)に達しました。

バイナンスNFTマーケットプレイス

ユーザー数・月間取引高で世界有数の規模を誇る仮想通貨取引所バイナンス が、2021年にローンチしたNFTマーケットプレイスです。NFTの発行・移転には、バイナンス・スマート・チェーンとイーサリアムのブロックチェーンの両方を利用できます。世界で約1,350万人 という巨大なユーザーネットワークを介し、流動性の高い取引を可能にしています。

楽天NFT

楽天が2022年2月にローンチを発表したNFTマーケットプレイス・販売プラットフォームです。音楽からアニメ、スポーツ、エンターテイメントまで、さまざまなカテゴリーのNFTの発行・売買が可能です。

楽天のIDを使用して取引を行うとポイントを獲得できるだけでなく、購入したNFTを自分専用のWebページにコレクションできるなど、独自の機能が満載です。

IPアドレスの所有者がNFTの発行・販売用Webサイトを構築できる、ワンストップ・プラットフォームを提供していることも特徴です。IPアドレスの所有者は誰でも簡単にNFTを発行できるため、NFTの普及にも一役買うと期待されています。

将来性は? eコマースや融資、メタバースなどで活用が広がる?

現在NFT市場のさらなる成長が期待されており、新たな付加価値を創造する手段として、NFTマーケットプレイスのビジネスモデルが進化していくことが予想されます。

例えば、楽天やアマゾンといったeコマースとNFTマーケットプレイスをリンクさせ、非デジタル商品とNFTをワンストップで売買できるマルチプラットフォームが生まれるかもしれません。

あるいはNFTを担保とする融資プラットフォームがニューノーマルとなるなど、その可能性は無限に広がっています。

現在、インターネット上に構築された3D仮想空間「メタバース」が話題になっていますが、アイテム取引やイベント開催といったメタバース空間内の取引においても、NFTの活用が拡大すると予想されています。

新たな経済圏の確立に期待

次世代のデジタル産業の発展において、NFTマーケットプレイスは大きな役割を果たすと期待されています。

一方で、法的環境整備やエネルギー消費による環境負担、スケーリング問題など、解決すべき課題も多く指摘されています。引き続きWealth Roadでは、このような課題への取り組みとともに、NFTが新たな経済圏を確立する可能性をレポートします。

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