数量化したがる人に株は不向き!?株投資に向いている人の特徴

『マンガでわかるピーター・リンチの投資術』より一部抜粋

(本記事は、栫井駿介氏の著書『マンガでわかるピーター・リンチの投資術』=ループスプロダクション、2021年11月27日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

大学では論理学の講義を取る

数量化したがる人は株に向かない

投資の経験がない人にとって、投資とは「難しい数字と向き合いながら株価の動きを綿密に予想するもの」というイメージが強いだろう。しかし、リンチによると「会社の資産はいくらあるのか、借金はいくらあるのか」など、小学校4年生ほどの計算知識で十分投資できるという

そもそも、数字だけで株が成功するのであればコンピューターを使うだけで大儲けできるはずである。しかし、実際にはそれで大儲けできた人はいない。科学的な知見に則って計算しつくしたとしても、計算通りに株投資を行えるとは限らないのだ。

このことから、リンチは「なんでも数量化したがる人は株に不向き」と表現している。

大学では教養にまつわる講義を選択

リンチは1965年にボストン大学を卒業し、金融の学位を取得した。

大学では、金融に関する講義は必要最低限のものだけに留め、歴史学や心理学、形而上学、認識論、論理学、宗教、ギリシャ哲学など、文化的な教養を身につける講義を重点的に取り、ビジネスに関連しそうな統計学や経営学などは学ばなかった

後のリンチは大学生時代を振り返り、「株に関わる仕事をする準備として、統計学よりも歴史学や心理学を学んでよかった」「株式投資は科学というより芸術だからだ」「論理学はウォール街での考え方が非論理的だと理解するのに役立った」と語っている。

株価はしばし、予測不能な動きをする。ウォール街の投資家やアナリストが「しばらく株価は停滞するだろう」と考えていても、彼らの予想に反して株価が大きく上下することがあるのだ。

予想に反した値動きに納得できない当時の投資家たちは「次の選挙では共和党が勝つから株価が上がる」「スカートの丈が短かったから株価が変動した」などと、無理に理由をこじつけて考えることが多かったのだ。

リンチにいわせると、ウォール街の投資家が主張するこうした因果関係は、古代ギリシャ人の考えた「ニワトリと太陽」の理論に似ているという。

古代ギリシャ人は、朝にニワトリが鳴くことから「ニワトリの鳴き声で太陽が昇る」と信じていた。現代の科学からするとこうした因果関係はないと断言できるが、当時のギリシャ人にとっては目の前で起きていたことしかわからなかったため、ニワトリの鳴き声と日出の因果関係を誤解したのだ。

これと同様に、当時のウォール街の投資家たちも、株式相場と無関係な事柄をこじつけて自分の失敗を認めようとしなかった。それが投資で失敗する原因となっていた。

リンチは論理学など教養を身につける講義を取っていたことから、こうした投資家たちの「因果関係の取り違え」を客観視することができていた

リンチ自身が投資に失敗したときは、なぜ失敗したかの視座を持っていたのである。

※上記は、本書からの抜粋であり、過去の実績ないし著者が作成したもので、今後の投資成果を保証するものではなく例示を目的としたものになります。また、個別株式の売買や投資を推奨するものではありません。

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<著者プロフィール>

栫井 駿介
1986年鹿児島生まれ。つばめ投資顧問合同会社代表、株式投資アドバイザー、証券アナリスト。
東京大学経済学部卒業。2009年より大手証券会社にて投資銀行業務に従事。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。2016年にバリュー株投資の実践を目的としたつばめ投資顧問を設立。ビジネス・ブレークスルーにて、「株式・資産形成実践講座」の講師を務める。
著書に『株式vs. 不動産 投資するならどっち?』(筑摩書房)、『年率10% を達成する! プロの「株」勉強法』(クロスメディア・パブリッシング)。

『マンガでわかるピーター・リンチの投資術』

  1. 数量化したがる人に株は不向き!?株投資に向いている人の特徴
  2. 株価が10倍“テンバガー”を狙える、3つの銘柄タイプ
  3. ピーター・リンチの経験から学ぶ 失敗しないための株の売買タイミング
  4. 有望な銘柄を見つける決算情報の読み方
  5. ピーター・リンチが5銘柄以内への分散投資をすすめるワケ

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