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目次
〔要旨〕
インベスコの2022年の見通しを再評価する:オミクロン変異株とFRBのタカ派への転換が当社の2022年の見通しに与える影響を考察
当社の2022年の見通しにおける変更点:ほぼ変更はないものの、いくつか重要な変更あり
当社の戦術的資産配分に与える影響:引き続き新興国市場とロングデュレーションに注目
当社の2022年の見通しにおける変更点
①2022年の経済成長は4-6月に回復する、②FRBは金融引き締めをさらに進めるものの、政策ミスを犯すほどの過度なものではない、③サプライチェーンのさらなる混乱により、インフレ圧力のピークが2022年半ばよりも後ずれする可能性、④当社の見通しにおける「持続的なインフレ」リスクの可能性を引き上げ
当社の戦術的資産配分に与える影響
新興国市場:オミクロン株が新興国市場に与える影響は軽微と見込まれることや、米ドルに対する見通しから、新興国市場を引き続き選好
ロングデュレーション:長期金利は現在の水準を維持あるいは低下するとの見通しから、引き続きロングデュレーションを選好。ただし、経済成長が加速した場合は、デュレーションに関する見通しが変化する可能性も存在
まとめ
経済成長率が潜在成長率に近づくにつれて、資産クラス全体でリターンが収れんするとの見通しを維持
オミクロン変異株とFRBのタカ派転換がインベスコの2022年の投資環境見通しに与える影響を考察する
インベスコでは、毎年、翌年のグローバル市場および経済動向の見通しを策定しています。9月初旬に各地域や資産クラスについて経験豊かな投資専門家やソートリーダーチームのメンバーが集まり、プロセスが開始されます。最初に、さまざまなデータに基づいて国内総生産(GDP)とインフレについて予測します。その際、各国・地域の財政・金融政策も考慮します。次に、現在の景気サイクルの位置を判断します。これにより、私たちが選好する資産クラスを決定します。その後、さまざまな可能性を考慮し、非常に可能性が高いと考える基本シナリオのほか、2つのテールリスクシナリオを設定し、各シナリオにおける投資への影響を検討します。
2021年12月初旬に2022年の見通しを発表した際、オミクロン変異株が出現する前にその見通しが作成されたこと、また、米連邦準備理事会(FRB)がテーパリング(量的金融緩和の段階的な縮小)のペースが加速する可能性があると補足しました。私たちは、マクロ経済環境や投資への影響を左右する可能性のある重要なイベントが発生した場合、見通しを再検討する必要があることを認識していました。最近のオミクロン変異株の感染拡大と、FRBのタカ派への転換を受け、その影響を評価するために再び議論しました。
当社の2022年の見通しにおける変更点
①2022年の経済成長は4-6月に回復する、②FRBは金融引き締めをさらに進めるものの、政策ミスを犯すほどの過度なものではない、③サプライチェーンのさらなる混乱により、インフレ圧力のピークが2022年半ばよりも後ずれする可能性、④当社の見通しにおける「持続的なインフレ」リスクの可能性を引き上げ―が主な変更点
2022年の見通しはほとんど変更しないという結果となりましたが、以下の重要な変更点があります。
・ オミクロン変異株の影響により、2022年1-3月期の経済成長に悪影響が及ぶと考えていますが、その感染状況を考えると、おそらく4-6月期に、経済成長は上昇に転じると考えます。
・ FRBのタカ派転換を考慮すると、当初の想定よりも大幅な金融引き締め措置が実施される可能性が高いと考えます。しかし、現在の景気サイクルを終わらせるほどの過度な引き締めを行うとは思いません。むしろ、財政および金融刺激策の規模が縮小されている米国やその他の先進国の経済成長は、2022年の見通しで予想したペースに減速するとみています。政策ミスのリスクは常に存在しますが、それは私たちの基本シナリオ上では存在しません。
・ 中国では「ゼロ・コロナ」戦略に沿った局地的な都市封鎖(ロックダウン)を実施しているため、オミクロン変異株の影響により、サプライチェーンへのさらなる悪影響が見込まれます。これは、中国の経済成長に悪影響を及ぼす可能性がありますが、その影響は軽微であると考えます。また、インフレ圧力が強まる可能性が高いため、インフレ圧力のピークは、予想していた2022年半ばよりもわずかに後ずれする可能性があります。
・ オミクロン変異株がインフレを悪化させる可能性を考慮し、2022年の見通しで設定した「持続的なインフレ」によるテールリスクの可能性を引き上げました。ただし、これは基本シナリオではありません。
当社の戦術的資産配分に与える影響
オミクロン変異株の感染拡大とFRBのタカ派への強まりによって、私たちの基本シナリオで選好される資産クラスのうち、変更される可能性があると考えた資産は、新興国市場とロングデュレーションでした。しかし、以下の理由から、私たちは、この2つの資産クラスを引き続き選好します。
新興国市場:
オミクロン株が新興国市場に与える影響は軽微と見込まれることや、米ドルに対する見通しから、新興国市場を引き続き選好
オミクロン変異株の感染拡大にもかかわらず、私たちの2022年の経済成長予想はほとんど変更がなかったことから、引き続き新興国市場を選好します。私たちは、オミクロン変異株の影響により新興国市場の経済成長の再加速がわずかに後ずれする可能性があるものの、ワクチン接種数の増加により、新興国市場の経済成長はより力強いものになる可能性があります。また、米ドルに対する見通しは引き続きニュートラルであり、新興国市場に対する私たちの選好を下支えします。2021年には多くの特有の要因が新興国市場のパフォーマンスを後押ししましたが、2022年もその状況が続く可能性があることを補足したいと思います。今後も、新興国市場内のさまざまな分野に関するより具体的な見解を注視したいと考えています。
ロングデュレーション:
長期金利は現在の水準を維持あるいは低下するとの見通しから、引き続きロングデュレーションを選好。ただし、経済成長が加速した場合は、デュレーションに関する見通しが変化する可能性も存在
2022年の見通しでは、長期金利が安定して推移するか、やや低下すると予想していました。今回、活発な議論を経て、私たちはその見解を再確認しました。短期および中期債の金利上昇という継続的な圧力は予想されますが、長期債の金利は現在の水準を維持あるいは低下すると予想しており、ロングデュレーションを選好します。この見解の根拠は、経済成長が4-6月期に上昇に転じると変更されたことを除けば、全体的な成長見通しはほとんど変わらないというものです。一方で、インベスコ・フィックスト・インカム(IFI)チームは、長期金利が上昇する可能性があるとみており、これによって、デュレーションに関する私たちの見解が変更される可能性があります。そのため、2022年後半の見通し策定において、私たちの見通しが変わる可能性があることを補足したいと思います。(2005年と2010年に見られたように)経済成長が再び加速する可能性があると判断した場合、金利の方向性、さらにはデュレーションに関する見解が変化する可能性があります。
まとめ
経済成長率が潜在成長率に近づくにつれて、資産クラス全体でリターンが収れんするとの見通しを維持
オミクロン変異株の影響があるものの、私たちの鍵となる前提に変更はありません。それは、経済成長率が潜在成長率に近づくにつれて、資産クラス全体でリターンが収れんするというものです。引き続き、2022年は移行の年と考えています。
クリスティーナ フーパー
チーフ・グローバル・マーケット・ストラテジスト
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MC2022-011