ホーム > 投資の未来 > サステナビリティを加速させる「グリーンテクノロジー」とは?
(画像=Maksym/stock.adobe.com)

サステナビリティを加速させる「グリーンテクノロジー」とは?

電力、エネルギー、ガス、輸送・物流、農業、公益事業、不動産など多様な領域において、持続可能な社会の実現に欠かせない技術として「グリーンテクノロジー」が注目されています。

「2030年までに8兆円市場に成長する」と期待されているグリーンテクノロジーの最新動向から、新たな投資のチャンスが見えてくるかもしれません。

「グリーンテクノロジー」とは?

グリーンテクノロジー(Green Technology)は人為的な活動により生じる環境問題を解決、あるいは緩和するための技術です。環境技術(Environmental Technology)と呼ばれることもあります。

その領域は再生可能エネルギーやオゾン層保護などの地球環境対策技術、省エネ技術・エネルギー有効利用技術、エコモビリティ(交通環境対策)、環境汚染物質の排出抑制技術、水質浄化などの環境管理技術、廃棄物対策、リサイクル技術まで広範囲にわたります。

身近な例としては太陽光発電や風力発電、地熱発電、バイオ燃料、生分解性プラスチック、省エネ商品、省エネビル、クリーンカー(電気自動車、ハイブリッド車など)などが挙げられます。

いずれのグリーンテクノロジーも、環境および天然資源を保護すると同時に、過去の環境損傷を修復することを目標としています。

グリーンテクノロジーを活用したイノベーション

グリーンテクノロジーを活用したイノベーションが続々と生まれる中、現在は以下のようなイノベーションが注目されています。

太陽光供給システム

従来の太陽光発電は、屋根に設置した太陽電池モジュールに日光を当てて充電する仕組みです。

スウェーデンのParans Solar Lightingが開発した「太陽光供給システム」の目的は、太陽光をより効率的に利用することです。光ファイバーケーブルを介して太陽光を建物の内部(最長100m)に供給し、光が不足している部屋を照らすという目から鱗が落ちるような発想です。しかも通常の電力を必要としないため、日中のエネルギー消費量はゼロになります。

再生プラスチック製道路

数年前から開発が加速している技術で、環境問題のひとつである廃棄プラスチックを道路の素材として再利用するというものです。

オランダのスタートアップであるPlastic Roadが開発した再生プラスチック製道路は、リサイクルだけでなく、洪水や地盤沈下対策も視野に入れており、複数のイノベーションアワードを受賞しています。

同社の再生プラスチック製道路は資材の中が空洞になっており、雨水を一時的に貯蔵し、放水路から徐々に排水できる仕組みになっています。プレファブリケーション(工場や現場のプラントで躯体を作り、現場で組み立てる工法)を採用しており、LEGOのブロックのように組み合わせるだけで「道路」が完成するため、掘削作業や基盤工事の労力と資源を大幅に削減できるというメリットもあります。

水素燃料電池自動車

水素と空気中の酸素を反応させて電気を起こす、燃料電池を搭載した水素燃料電池自動車。FCEV(燃料電池車)とも呼ばれており、CO2(二酸化炭素)を排出しない次世代自動車として注目を浴びています。

すでにトヨタの「Mirai」やホンダの「Crarity Fuel Cell」、現代自動車の「Nexo」が市場に投入されています。また、英スタートアップのRiversimple Movementがわずか580kgという超軽量カーボンボディを誇る「Rasa」のプロトタイプを発表しました。

しかし、「水素は製造過程でのエネルギーロスで、二酸化炭素も生成される」との指摘もあり、今後の動向が注目されます。

AI・IoT

AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)をグリーンテクノロジーとして利用するケースも増えています。これらの技術を使って膨大なデータを収集・分析することで、効率的かつ効果的、そして低コストで環境問題対策を講じることが目的です。

現在はMicrosoftやGoogleなど大手企業がAIを利用して環境問題対策に取り組んでいるほか、スタートアップの存在感も増しています。例えばオーストラリアの農業技術(Agriculture Technology)スタートアップのTHE Yieldは、AIとIoTでリアルタイムの天候データを生成し、農作物や養殖生産の収穫量の増加や水の消費量の削減に成功しています。

市場規模が1兆円突破 今後10年で7倍以上に成長?

環境問題ソリューションの需要の高まりを受け、グリーンテクノロジーへの投資も活発になっています。

米市場調査企業Allied Market Researchの報告書によると、世界のグリーンテクノロジーおよびサステナビリティの市場規模は2020年に100億ドル(約1兆1,358億円)を突破。2021年~2030年はCAGR(年平均成長率)21.9%のペースで成長し、746億ドル(約8兆4,736億円)規模に達すると予想されています。

このように、今やグリーンテクノロジーはサステナビリティの発展に欠かせない存在になっています。サステナビリティへの取り組みがさらに加速すると予想される中、グリーンテクノロジー市場のさらなる成長が期待されます。Wealth Roadでは今後も、グリーンテクノロジー市場の動向をレポートします。

※上記は参考情報であり、特定企業の株式の売買及び投資を推奨するものではありません。

本サイトの記事は(株)ZUUが情報収集し作成したものです。記事の内容・情報に関しては作成時点のもので、変更の可能性があります。また、一部、インベスコ・アセット・マネジメント株式会社が提供している記事を掲載している場合があります。 本サイトは特定の商品、株式、投資信託、そのほかの金融商品やサービスなどの勧誘や売買の推奨等を目的としたものではありません。本サイトに掲載されている情報のいかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。最終的な投資決定はご自身の判断でなさるようお願いいたします。 当サイトご利用にあたっては、下記サイトポリシーをご確認いただけますようお願いいたします。