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(画像=Tavarius/Shutterstock.com)

「都市化現象」が中国不動産に与える影響とは?

住宅価格や生活費高騰の原因の一つとされる、都市化現象(Urbanization)。経済活性化対策の一環として、「5年間で1億人を都市部に移動させる」という、大規模な都市化計画を進める中国の例とともに、都市化によるプラス・マイナス影響について考えてみましょう。

日本でも見られる都市化現象

都市化とは、人口の集中的な増加に伴って特定の地域が発展する現象です。先進国、発展途上国に関わらず、経済や教育、医療、衛生、住宅、ビジネスチャンス、交通機関など利便性の高い生活環境を求め、人々が農村部から発展した地域へと移動する傾向が見られます。その結果その地域の人口が増加し、都市化が起こるのです。

少子高齢化によって人口が減少している日本においても、都市化の加速が見られます。東京圏の転入超過数は13万9,868人と前年から1万1,761人増えています(総務省統計局2019年公表データ)。

国際連合経済社会局(UN DESA)の調査によると、世界人口の半分はすでに都市に住んでおり、2050年までにそれが3分の2に増えるといいます。

人口の6割を都市部に集中させる「国家新型都市化計画」

巨額の資金投下や規制改革によって、都市化を促進している国の代表が中国です。過去数十年間にわたり、過疎地の開拓や小規模な町・村の統合など、都市開発に積極的に取り組んできた中国政府は2014年3月、「国家新型都市化計画」を発表しました。

2020年末までに都市部に住む中国人の数を54%から60%に増やし、都市の発展を加速させることで、経済成長の鈍化を好転させると同時に、都市の富裕層と農村部の貧困層の溝を埋めることを目指すものです。

また上海や北京などの、すでに人口が密集している大都市の人口を分散させる効果も期待されています。

世界人口レビューや中国統計年鑑の2019年のデータによると、中国全土には合計662の都市があり、そのうち1,000万人を超える大都市が10以上、100万人を超える中都市が160もあります。2018年の都市部の人口は、56.9%に達しています。

特に北京や上海、広州、深センなどの大都市は、ビジネスや投資、国際化といった都市化による恩恵を受け、今後もさらなる成長を維持すると予想されます。

居住許可の制限の緩和が都市化を加速させる?

急速な都市化は、住宅市場の需給バランスを崩し、住宅価格を上昇させます。
価格高騰の要因は、人口の増加による住宅不足だけではありません。ビジネスの発展が予測される都市には投機的な資金が流入し、その資金を元に都市がさらに発展し、不動産の価格に反映されます。ニューヨークやロンドン、香港のように、大都市として繁栄すればするほど、不動産の価格が上昇するのはそのためです。

2019年から中国の一部の都市で実施されている、居住許可の制限緩和は、この傾向に拍車をかけると考えられています。

同国では、人口や職業の流動化を抑制する手段として「戸口(hukou)登記管理制度」が導入されています。登録していない住民には、不動産の購入や車の登録、教育や医療などの公共サービスへのアクセスが禁じられているため、自由に移転できない仕組みです。

しかし、人口100万~300万人および300万~500万人の都市における居住許可の制限の緩和が発表されたことで、農村部からの移民労働者が大量に流入することが予想されます。

すでに、2018年の時点で、1,400万人の地方移民労働者が登録許可を取得しましたが、、2019年の規制緩和実施に伴って国家開発改革委員会は、追加で100万人の移民労働者への登録許可を計画しています。

プラス、マイナス2つの局面

こうした背景からみる限り、中国の大規模な都市化現象は、プラスとマイナス両方の局面を併せもっているものと推測されます。

不動産産業の活性化や住民の生活水準の向上という観点からみると、都市化はプラス影響であることは疑う余地がありません。

土地開発業者や不動産業者にとって大きな利益創出のチャンスとなるほか、新たなビジネスや投資、雇用など、多数のポジティブな機会をもたらします。また、都市の発展により土地や不動産の価格が上がると、地方自治体は税収入の増加が見込めるため、地域が経済的に潤うという利点もあります。

一方で、交通渋滞や環境汚染、学校や病院などの施設不足、犯罪の増加など、都市化に付随するマイナス面の懸念が残ります。都市部の住宅費や生活費の高騰による、富裕層と貧困層の二極化も指摘されているようです。

都市化のマイナス面を押さえながら、プラス面を伸ばすことができれば、中国の不動産市場のみならず、中国経済全体にとっても良い影響を与える可能性があります。今後も中国の都市化がプラス、マイナスどちらに傾くかは引き続き重要なテーマと言えるでしょう。