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暗号資産への投資ガイド

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暗号資産への投資において考慮すべきポイント

〔要旨〕

投資家が暗号資産に求めていることは?:多くの投資家にとって、分散効果とキャピタルゲインの獲得が主要な投資目標である

ボラティリティと期待されるリターン:ビットコインは急激に上昇する傾向があるが、下落時の反動も大きい

暗号資産への投資には慎重なアプローチが必要:投資に当たっては、分散投資や定期的なリバランスなど、伝統的な投資の教えを考慮するべきだろう

暗号資産に関する重要な質問
①ビットコインとS&P500種指数との相関が上昇していること、②暗号資産は投資家にリターンだけでなくリスクも提供してきたこと、③インフレヘッジ資産としての実績の乏しさ―には留意が必要

暗号資産に関して考慮すべき4つのポイント
①規制強化の可能性、②環境への負荷の大きさ、③暗号資産間の競争、④流動性の問題―などが暗号資産に投資する上でのポイントになる

ビットコインをポートフォリオに組み入れるべきだろうか?
暗号資産へ投資する際には、①少額のアロケーションから検討すること、②主要な暗号資産に分散させること、③金や不動産などとともに分散投資を進めること、④定期的にリバランスさせること―を推奨

先週、米暗号資産交換会社大手のコインベースが上場し、ビットコインが過去高値を更新

先週、米暗号資産交換会社大手のコインベースがナスダック市場に上場、13日にはビットコインが過去最高値を更新し、投資家の皆さまから暗号資産に関する質問を非常に多くいただきました(ただし、週末には価格が急落しました)。本稿では、暗号資産に関する私の見解をご紹介します。私に頂いた最も多い質問は、「ポートフォリオにビットコインを組み入れるべきだろうか?」というものです。同じような質問は、2017年後半、ビットコインが大きな話題となり、多くのメディアで報道されたときにも受けました。しかし、今回が以前と異なる点は、個人投資家だけでなく機関投資家からも質問が寄せられていることです。

暗号資産に関する重要な質問

2020年1月以降、ビットコインとS&P500種指数との相関は上昇

ポートフォリオに新しい資産クラスを含めることを検討するときは、次のようなシンプルな質問を自身に問うてみることが必要です。それは、「この資産はポートフォリオに何をもたらすのか?」という問いです。オルタナティブ資産クラス(従来の株式や債券以外の資産クラス)への投資の場合、通常、主な投資目標はポートフォリオの分散効果の獲得になります。

過去、ビットコインのS&P500種指数などの伝統的な資産クラスとの相関は低い水準です。例えば、2011年1月1日から2021年3月31日まで、ビットコインとS&P500種指数の相関は0.15です 1 。しかし、ビットコインの人気が高まるにつれ、その相関は上昇し、2020年1月1日から2021年3月31日までの数値は0.66となっています 1 。これは、ビットコインが以前ほど分散効果をもたらさなくなった可能性を示唆しています。ただし、その他の暗号資産が分散効果をもたらさないということではありません。

過去、暗号資産は投資家に大きなリターンだけでなく、リスクも提供してきた

そして、キャピタルゲインも重要な投資目標とみなされています。2015年1月2日にわずか314.50米ドルだったビットコインは、先週初めには64,000米ドルを超える水準まで上昇し、過去最高値を更新しました 2 。仮に、さらに多くの個人投資家や機関投資家がポートフォリオへビットコインを組み入れると決定した場合、ビットコインはさらに上昇する可能性があります。しかしながら、先週、過去高値を更新した後、54,000米ドル以下に急落した 2 ことからも明らかなように、ビットコインはボラティリティが非常に大きく、時に価格の急落が見られます。

暗号資産への投資を検討している投資家は、このリスク/リターンの特性を認識する必要があります。2011年以降、ビットコイン価格が過去の高値を下回った取引日は93.6%でした 1 。同期間に金価格が過去の高値を下回った取引日は98.4%で、この点において、ビットコインは金よりも好ましい結果をもたらしたと言えます。ただし、S&P500種指数の同数値は86.6%であり、S&P500種指数はより優良な結果でした 1 。しかし、より重要と思われる点は、ビットコインが高値を下回っていた時、その価格は過去の高値を平均53.5%も下回っていたことです 1 。一方、金は高値を平均25.6%下回っており、S&P500種指数の場合は、3.8%下回っていたにすぎません 1 。つまり、ビットコインが下落するとき、その下落幅は非常に大きくなる傾向があります。そして、ビットコインと同様、他の暗号資産の価格も大幅に上昇していますが、価格変動が大きく、資産価格が急落する場面がありました。つまり、過去、暗号資産は大きなリターンとリスクを提供してきたのです。

暗号資産はインフレヘッジ資産としての実績が乏しい

オルタナティブ資産の保有を検討する他の理由としては、インフレや地政学的リスクをヘッジする目的があるでしょう。例えば、一部の投資家はインフレヘッジを目的に金を保有します(ただし、過去、金が常にインフレヘッジの性質を示していたわけではありません)。そして、暗号資産は相対的に新しい資産クラスのため、過去にインフレヘッジとしての特性を示したかどうかを判断できる十分な実績がありません。暗号資産が有効なリスクヘッジ資産となるかどうかは、まだ分からないと言えるでしょう。

暗号資産に関して考慮すべき4つのポイント

①規制強化の可能性、②環境への負荷の大きさ、③暗号資産間の競争、④流動性の問題―などが暗号資産に投資する上でのポイントになる

その他、暗号資産への投資において、投資家が考慮すべきポイントは以下の通りです。

・規制:第一に、暗号資産への規制強化の可能性です。ただし、それは必ずしも悪いことではありません。例えば、規制は暗号資産への投資に対する信頼を高めると思われます。一方、規制によるコスト増加により、暗号資産の価格を押し下げる可能性もあるでしょう。さらに、厳格な規制により、ローカルな暗号資産交換所が閉鎖され、暗号資産の使用が禁止される可能性もあるでしょう。

・環境への負荷:ビットコインは環境に優しい投資ではありません。ビットコインは平均して1秒あたり約7トランザクション処理することができますが、各トランザクションにはかなりの電力量が必要です(1トランザクションあたり951KWh)3 。機関投資家においては、環境への悪影響を懸念する主体から、ビットコインなどの環境に優しくない資産の売却圧力を受けることが想像されます。ただし、他の主な暗号資産は、ビットコインほど大量の電力を必要としません。

・競争:暗号資産として最初に認知を得たことや、ブロックチェーン技術を誕生させた先駆的な発明であったこと以外に、ビットコインが特別である理由はあまりありません。他の暗号資産もビットコインと類似しており、ビットコインが採掘しつくされるにつれて、より技術的に高度で効率的な暗号資産に置き換えられていく可能性は非常に高いと考えます。この点は、ビットコインが長期的な価値を有するとの主張の信ぴょう性を弱めるでしょう。

・流動性:投資家は現存する暗号資産の数の多さに圧倒されているのではないでしょうか。そして、どの暗号資産に投資すればよいのか、判断は難しいものでしょう。流動性の高さの点からは、ビットコインのほか、イーサリアム、リップル、ライトコインなどがあります。ただし、投資家は、それぞれの暗号資産の性質の違いを調査するべきでしょう。

ビットコインをポートフォリオに組み入れるべきだろうか?

暗号資産へ投資する際には、①少額のアロケーションから検討すること、②主要な暗号資産に分散させること、③金や不動産などとともに分散投資を進めること、④定期的にリバランスさせること―を推奨

まとめると、ポートフォリオにビットコインを組み入れるべきかどうかとの回答は、「投資家によって異なる」というものになります。投資家のリスク許容度、投資目標、およびその他の要因は異なっているからです。自身が暗号資産の投資に適していると考える投資家は、まず少額のアロケーションから検討し、主要な暗号資産へ分散投資をすることを推奨します(それぞれの暗号資産の特徴は異なっているからです)。そして、金や不動産などのその他のオルタナティブ資産と合わせた分散投資を進めるのがよいでしょう。また、定期的なリバランスは、投資家が価格の上昇に合わせて利益を確定させたり、価格の下落を活用することに役立つでしょう。そして、投資家の人気によりさまざまな暗号資産の価格が上下する中、アクティブな判断も投資家を助けることになるでしょう。

1.出所:ブルームバーグL.P.、インベスコ。
2.出所:コインデスク。
3.出所:XRP Ledger。

 

クリスティーナ フーパー
チーフ・グローバル・マーケット・ストラテジスト

 

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