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株式市場はバブルなのか?

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「根拠なき熱狂」が市場を押し上げているのか?

〔要旨〕

現在の株式市場はバブルなのか?:「根拠なき熱狂」による価格の上昇は、その後の長期的な下落を伴う

資産価格の上昇と投機的なバブルは同一ではない:現在の株価の上昇は、景気刺激策とコロナ後の景気回復期待によるものと考えられる

バブルと資産価格の下落:資産価格が循環的に動くことは常であり、下落局面はその循環の自然な一面

現在の株式市場は投機的なバブルに陥っているのか?
ロバート・シラーなど著名な経済学者3名のバブルに対する見解や、テクニカル分析によりバブルを考察する手法を整理

まとめ
長期投資家にとっては、資産価格の循環を超えた長期のトレンドラインを考えることがより重要

過去、グリーンスパン元FRB議長は「根拠なき熱狂が資産価値を不当につり上げている」と演説

最近、投資家の皆さまから、「現在の株式市場は投機的なバブルに陥っているのか?」という質問をよく受けます。本稿では、私の経験を基に、その質問にお答えします。私の金融サービス業界でのキャリアは1995年に始まりました。その後間もなくして、当時の米連邦準備理事会(FRB)のグリーンスパン議長による、株式市場が「根拠なき熱狂」に陥っていると指摘した歴史的な演説を聴き、その意味をよく考えました。その演説で、グリーンスパン議長は「根拠なき熱狂がいつ資産価値を不当につり上げ、その後予期せぬ長期的な下落を招くことを、どのように知ることができるのだろうか?」と疑問を投げかけました。演説のタイミングは完璧ではありませんでした(その後、株式市場は数年間上昇しました)が、2000年3月には「ITバブル」が崩壊し、株価の暴落が訪れました。

シラー氏は「根拠なき熱狂」を投資家の心理的側面から定義づける

ロバート・シラーは、2000年の著書「根拠なき熱狂」でこの概念を掘り下げました。同書で、シラーは根拠なき熱狂を投機的バブルの主要な要因として、投資家の心理的な側面を取り上げました。シラーは、根拠なき熱狂とは「価格上昇のニュースが投資家の熱狂に拍車をかけ、それが人から人へ心理的に波及し、価格上昇が正当化されるプロセスを作る。そして、より多くの投資家が真の価値に疑問を抱き始めるにもかかわらず、他人の成功への羨望(せんぼう)、ギャンブルへの興奮によって、投資に魅力を見い出し続ける。」と定義しました。

投機的バブルは①変化、②ブーム、③高揚、④危機、⑤嫌悪—の軌跡をたどる

この定義は多くの投資家に分かりやすい説明ではないかもしれません。簡潔に言えば、私たちが投資を行う中で持つ感情は、恐れと貪欲、より丁寧に言えば、楽観と悲観の2つだけです。そして、私は楽観と根拠なき熱狂を区別するのは難しいと思っています。ここでは、投機的バブルを説明するうえで、チャールズ・キンドルバーガーによる考えを引用します。

1.変化:一部の先行的な投資家(賢いマネー)が、ある種のカタリストを認識し、業界、国、またはテーマへの投資を開始する。

2.ブーム:それらの投資を支持する話題が増え、投資への勢いがつき、さらに勢いが増す。

3.高揚(ユーフォリア):メディアはそれらの投資をより広く報道し、誰もがこの魅力的な投資機会に気づく。例えば、1990年代ではタクシー運転手がインターネット株に投資し、現在は、フリーランスの人々がビットコインに、食材宅配の運転手がGamestop株に投資をする。投資への勢いは劇的に強まる。

4.危機:先行的に投資を始めた投資家が、資金を引き揚げ始める。価格が下落するにつれてより多くの投資家が手を引き、売却の勢いが増す。バブルが崩壊し、「高揚感による買い」が「パニック売り」に変化する。

5.嫌悪:メディアによる報道がネガティブなものとなり、投資家がその投資を嫌うようになる。資産価格が暴落することもある。

なお、キンドルバーガーのモデルのうち、1番目から3番目の段階はよく見られるのですが、それが全て4番目や5番目の段階に達するわけではありません。例えば、投資家がある産業や国、投資テーマへの関心を失い、その資産価格が停滞することはありますが、大幅に下落することは頻繁にはありません。この最初のいくつかの段階はバブルの前提条件ですが、バブルに陥っているかを決定する要因ではないということです。

テクニカル指標からバブルを考察する

市場のテクニカルな指標から、バブルを考察することもできます。通常、テクニカルアナリストは、次の環境が見られる時に市場がピークを打つと考えています。

1.過去1年(52週間)の高値を更新した企業数が、減少し始める。

2.対象範囲が広い株価指数は下落を始めるものの、対象範囲が狭い株価指数には上昇が見られる。

3.株価が高値を更新できず、ついには過去の上昇トレンド中の前回の安値を下回る(これはタイミングの話で、最終的な確認とみなされます。)。

ただし、最初の2つの環境は非常に長期間続く可能性があり、また、それらが常に3つ目の状況(それに続く株価の下落)をもたらすとは限らないことに注意してください。

投機家の行動により資産価格が下落した時、市場の下落が加速される「ミンスキーモーメント」が生じる

その死後も多くの尊敬を集めている米国の経済学者ハイマン・ミンスキーの「金融不安定性仮説」からも、投資の世界を考察してみましょう。ミンスキーは、長期間にわたる資産価格の上昇は、市場参加者の全体的な市場リスクの認識を低下させる環境を作り出すと主張しました。それは、市場において、より投機的な投資行動を生み出すことになります。そして、投機家の行動により資産価格が下落した時、一般の投資家はより流動的で投機的ではない資産の売却までも余儀なくされ、市場の下落が加速される「ミンスキーモーメント」を生み出す可能性があります。

資産価格の継続的な上昇をもって、市場をバブルと結論づけることは誤り

私たちは、足元の金融環境が追い風であること、資産価格が上昇を続けてきたこと、投資家がより熱狂していることを知っています。しかし、これだけで株式市場が投機的なバブルに陥っていると結論づけることは誤りです。例えば、多くの国が新型コロナウイルスの世界的な大流行(パンデミック)から抜け出し、より大きな財政および金融刺激策の恩恵による力強い経済成長を見越して、株価が上昇している可能性があります。また、投資はすべて相対的であり、低金利環境では株式やその他のリスク資産が国債や現金よりも魅力的であるために、株価が上昇している可能性があります(これは、他に「代替手段がない」という意味の「TINA」と呼ばれる考え方です)。さらに、現在のパンデミックにおいて、家計の裁量的な消費支出の減少と平均的な貯蓄率の増加が見られており、個人が投資に回せる資金が増加したため、株価が上昇している可能性もあります。

市場は循環的に動くことから、十分に分散された長期投資を行うことが重要

資産価格が循環的に動くことは常であり、株価の下落はその循環の自然な一面です。ただし、循環の存在は、投資家が株式に投資をしない理由とはなりません。それは、債券やオルタナティブを含むさまざまな資産クラス間、および各資産クラス内で十分な分散をしておくべき理由となります。そして、投資家が長期の投資ホライズンを持つべき理由でもあります。1996年のアラン・グリーンスパンの演説を思い出すと、当時、株式市場が「根拠なき熱狂」下にあったために、株式への投資をやめるべきだったでしょうか?参考までに、1996年12月5日、その夜のグリーンスパンFRB議長の有名な演説の直前のダウ平均株価は6,437.10、S&P500種指数は744.38でした 1 。同様に、2008年から2009年の劇的な市場の下落も振り返ってみましょう。下落が始まった時点で株への投資を放棄したとしたら、私は、今日、大きな後悔をしているでしょう。リーマンブラザーズが破産を申請し、広範な市場パニックを引き起こした 2008年9月15日、ダウ平均株価は10,917.51、S&P 500種指数は1192.69でした 2

株価の長期のトレンドラインが上向きであることが重要

未来から振り返ってみなければ、私たちが現在、持続的な上昇局面にいるのか、投機的なバブル下にいるのかは分かりません。そして、それは長期投資家にとっては重要な問題ではありません。株式市場は上昇と下落を繰り返しますが(ミンスキーモーメントも発生します)、長期の株価のトレンドラインが上向きであることが大切なのです。

1.出所:ブルームバーグL.P. 。
2.出所:ブルームバーグL.P. 。

クリスティーナ フーパー
チーフ・グローバル・マーケット・ストラテジスト

 

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