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2021年の金融市場への投資

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堅調かつ包括的な景気回復を予想

〔要旨〕

歴史は韻を踏む:2020年からの教訓は、世界金融危機(GFC)から学んだことの繰り返しであった

堅調な景気回復:広範なワクチンの普及に支えられ、今後の景気回復はGFC後よりもはるかに力強く包括的なものになると予想

アジアの新興市場:特に、中国や韓国など、パンデミックをうまく管理している国々の見通しは明るい

2021年の市場予測

①米中関係の改善、②GFC後よりも早い先進国の景気回復、③原油価格の上昇、④ビットコイン価格の下落、⑤S&P500種指数の上昇継続

新年の抱負

①分散投資の継続、②アジアの新興市場へ注目、③テクノロジーセクターへの注目

2020年は、中央銀行の持つ非常に強力な力を再確認した1年に

新年明けましておめでとうございます。2020年は厳しい1年でした。そして、歴史は必ずしも繰り返されないかもしれませんが、確かに韻を踏んでいるようです。2020年から私たちが学んだことは、世界金融危機(GFC)から得た教訓の繰り返しでした。それは、中央銀行の力は非常に強力であるということです。彼らはウイルスを退治したり、雇用を創出したりはできませんが、人々の自信を高め、市場を動かすことはできます。これは、2020年と2009年の大きな類似点でした。中央銀行の介入は、リスク資産を下支える材料として特に重要でした。

新年を迎え、今年の金融市場への見通しについて整理をしました。本稿では、皆さまにその概略をお伝えします。

2021年の市場予測

1.米中関係の改善

トランプ政権時の中国への関税の撤廃の可能性や、中国経済の影響力の拡大などを背景に、米中関係は改善すると予想
バイデン氏の周りには、重要な問題について中国に積極的にプレッシャーをかけ、その力を確認したい「改革派」と、米中関係をオバマ政権時に戻したい「復興派」が存在しているようです。そして、中道派であるバイデン氏は、両者の間をとると考えています。米中関係がトランプ政権前の状態に戻るとは思いませんが、両国の関係は改善し、正常化すると予想しています。特に、先行きについて見通しやすくなり、不安定さについても改善されるでしょう。大統領に就任後、バイデン氏が関税について直ちに対応することは難しいかもしれませんが、トランプ政権時の関税による影響が十分に「検証」された後、これらは撤廃されると予想しています(撤廃は米国経済の一部、特に農業従事者に明らかな悪影響を及ぼします)。また、バイデン政権は、中国の特定の問題に積極的に切り込み、米国の同盟国などとともにそれらの問題を追求する可能性もありますが、多くの米国企業のビジネスが中国に関連していることを考えると、より友好的な米中関係の中で対話が続けられると考えます。新型ウイルスの影響もあり、中国経済は米国経済をすぐに追い抜くペースで成長しており、中国の影響力は高まっています。直近、経済ビジネスリサーチセンターは、中国が世界最大の経済国として2028年までに米国を追い抜くという予測を発表しています。これは、パンデミックからの回復度合いが両国間で大きく異なるためで、以前の予測よりも5年早くなっています 1 。さらに、中国側から、米国との関係を改善したいという兆候がすでに見られ始めています。中国の王毅外相は最近のサウスチャイナ・モーニング・ポストとのインタビューで、米国と中国の双方は過去数年間、関係悪化の影響を受けていたが、米中関係は「新しい希望の窓」が開かれ「新たな岐路」に到達したと述べました 2

2.GFC後よりも早い先進国の景気回復

ワクチンの供給に支えられ、サービス産業や低所得者層は大きな恩恵を受ける見込み
広範な新型コロナウイルスのワクチン供給に支えられ、現在の景気回復はGFC後よりもはるかに強力で包括的なものになると考えます。サービス産業の回復は非常に大きく、多くの低所得労働者がその恩恵を受けると見込んでいます。ただし、実際のワクチンの供給においては、様々な障害も起こりうるでしょう。また、より毒性の強い変異種の発生など、新型コロナウイルスに関してより懸念される事象が増加する可能性もあります。しかし、多くの人が一度、ワクチンを接種することで、景気回復は強固なものになると考えています。

3.原油価格の上昇

2021年の力強い景気回復が石油需要の拡大を後押し
ワクチンが配布される2021年の力強い景気回復を考えると、石油需要は大幅に増加すると予想されます。仮に石油生産が増加したとしても、WTI原油価格は大幅に上昇すると考えます。

4.ビットコイン価格の下落

優れたヘッジ資産としての金の地位は変わらず
ビットコインは多くの熱狂に包まれていると思いますが、それはかつての「チューリップへの熱狂」のように感じ始めています。ビットコインは2020年に300%以上上昇しましたが、2020年末の数カ月での上昇は大変に大きいものとなりました 3 。私は、金が「ハードアセット」への資産分散と地政学的リスクに対するヘッジとして、はるかに優れた選択肢であると引き続き信じています。ビットコインは今年もしばらくは上昇を続けるかもしれませんが、過去の強い上昇後に見られたように、値動きが不安定となり、最終的には失望されるものと予想します。

5.S&P500種指数の上昇継続

堅調な株価上昇が続くと見込む
S&P500種指数は、2021年にさらに2桁の上昇率を記録するでしょう。ワクチンの配布が始まることで、それほど遠くない将来に力強い景気回復が見込まれますし、米連邦準備理事会(FRB)からの並外れた支援も継続されるでしょう。 途中、株価の下落や停滞も見られるでしょうが、2020年に見られた株価上昇は継続すると考えています。市場の期待を上回る良好な企業業績も、株価の支援材料となるでしょう。

新年の抱負

1.分散投資の継続

投資の継続と十分な分散投資を推奨
投資を継続し、また十分に分散をして下さい。私は2021年のリスク資産全般に非常に自信を持っていますが、それは今年の金融市場が変動や下落に見舞われないという意味ではありません。株式、債券、およびオルタナティブ資産クラスへの適切なエクスポージャーを持つことは、その変動に耐えることができるポートフォリオを構築する鍵であると私は信じています。

2.アジアの新興市場

中国や韓国などのアジアの新興市場に注目
アジアの新興市場に目を向けましょう。私は、中国や韓国など、パンデミックをうまく管理している新興市場の国々に、特に明るい見通しを持っています。これらの経済は、2021年に私が期待する強力なワクチンによる経済回復という環境へ、有利なスタートを切ることができます。

3.テクノロジーセクター

テクノロジー株への恩恵は継続すると予想
テクノロジーセクターへの投資を忘れないでください。景気回復により、エネルギーや一般消費財などのシクリカルセクターの株式が好調に推移する可能性がありますが、これは必ずしもテクノロジー株がアンダーパフォームすることにはつながりません。私は、多くのテクノロジー株は、パンデミック下で加速したトレンドから恩恵を受け続けると信じており、テクノロジーセクターへの適切なエクスポージャーを引き続き支持します。

1.出所:ロイター、“China to leapfrog U.S. as world’s biggest economy by 2028: think tank”、2020年12月25日。
2.出所:サウスチャイナ・モーニング・ポスト、“China-US relations: Beijing says ‘new window of hope’ is opening as it offers Biden administration an olive branch”、2021年1月2日。
3.出所:CNBC、“Bitcoin rallies above $30,000 for first time after advancing over 300% in 2020”、2021年1月2日。

クリスティーナ フーパー
チーフ・グローバル・マーケット・ストラテジスト

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