投資市場にも新型コロナウイルスの影響が及ぶ中、投資を始める人や投資額を拡大する人が増えています。少額でも分散投資ができる投資信託は、投資初心者からベテランまで幅広い層に人気がありますが、せっかく投資をするのであれば、リスクを抑えつつリターンを狙いたいものです。
今回は投資信託を選ぶ際の参考となるよう、モーニングスター社が発表している9月末のリターンランキングで上位に選ばれた4つの投資信託を、最近の運用成績や構成銘柄とともにご紹介します。
目次
波乱の米株式市場 国内市場は堅調な推移
9月上旬の米国市場は大型成長株の下落が引き金となり、多くの利益確定売りが出ました。利益確定売りとは、保有資産に含み益が生じた時に売却し、利益を確定させること。含み益とは、確定していない利益のことです。
急落にはいくつかの要因が考えられますが、Tesla株の下落が飛び火したことが大きく影響しているのではないか、との情報がUSAtodayなどのメディアで報道されました。TeslaとAppleが株式分割を実施した8月末、Tesla の大株主の一つであるBaillie Giffordが、ポートフォリオを分散するために保有株を7.6% から 4.25%に縮小。その結果Tesla株が急落し、利益確定売りやパニック売りが相次ぎ、過熱気味だった大型成長株に冷や水を浴びせたのです。
一方、国内市場は中旬から下旬にかけて上昇。安倍政権による金融緩和政策の継続や菅政権の発足など、市場に安心感をもたらす材料が出そろったことで、関連銘柄への関心が高まりました。
9月の運用成績が好調だった投資信託4選
以下の投資信託は9月と過去1年の運用成績が好調で、かつ将来性のある銘柄を多く組み込んでいます。純資産10億円以上の全投資信託(確定拠出年金、ラップ口座は対象外)を対象とするモーニングスターのランキングでは、過去1年のリターンで上位入りを果たしました。
1. グローバル・プロスペクティブ・ファンド
日興アセットマネジメントが運用する追加型投信です。
「イノベーティブ・フューチャー」という愛称通り、革新的なイノベーションを起こす可能性を秘めた国内・国外株を投資対象とし、市場や需要の変化に合わせて、随時「旬」の銘柄を取り入れている点が特徴です。
モーニングスターランキング:1位
2. FANG+インデックス・オープン
大和アセットマネジメントが運用する追加型投信です。
「FANG+インデックス・マザーファンド」を通して米株式に投資し、「NYSE FANG+指数(ニューヨーク証券取引所上場IT10銘柄)」の値動きと連動させることを目標としています。外国株式が96.3%を占めるファンドです。
「FANG」はFacebook、Amazon、Netflix、Googleの頭文字で、その他TeslaやApple、Nvidiaなどの米上場IT企業、ALIBABA GROUP HOLDING(阿里巴巴集団)やBAIDU(百度)といったNYSEに上場している中国銘柄で構成されています。
モーニングスターランキング:2位
3. iFreeNEXT FANG+インデックス
2と同じく大和アセットマネジメントによる運用です。
主に、米国の株式(DR(預託証券)を含む)に投資し、投資成果をNYSE FANG+指数(円ベース)の動きに連動させることをめざして運用を行っています。
モーニングスターランキング:3位
4. DIAM新興市場日本株ファンド
アセットマネジメントOneによる運用です。
ラクスルやカオナビ、ユーザベースを筆頭とする情報・通信業株が6割以上を占め、ライフネットなどの生命保険、メドレーなどの医薬・ヘルスケア、SBIホールディングスなどの証券や商品先物取引業など、東証マザーズなどの新興市場の銘柄を中心に構成されています。
モーニングスターランキング:4位
今後の注目ポイント
米国銘柄を組み入れている投資信託は、引き続きIT株や医療・ヘルスケア株が注目されることになりそうですが、ワクチンの開発状況や大統領選の行方、また欧州を中心に勢いを増す米大手IT企業への規制強化など、不安材料も多いため注意が必要です。
また世界各地で5Gネットワークが拡大していることから、次世代通信関連銘柄を組み入れたものや、コロナ終焉の決め手となるワクチン関連の銘柄を組み入れたものも、国内外を問わず、今後さらに注目されるでしょう。
残念ながら投資の世界には、確実に儲かる「レシピ」はありません。目にした情報を鵜呑みにせず、自分で情報を分析する力を身につけることが重要です。そのような努力の積み重ねることによって洞察力が養われ、市場の動きに過剰に反応しない「自分だけの投資スタイル」を確立できるのではないでしょうか。
出所:各社開示資料より抜粋
※上記は参考情報であり、特定ファンドの売買を推奨するものではありません。