NISAのロールオーバーとは?120万円を超えてもできる?

「NISAのロールオーバーはいつまでにすれば良い?」
「ロールオーバーのデメリットは?」
「NISA非課税投資枠の120万円を超えてもできる?」
と不明点が多く、お悩みの方もいることと思います。

ロールオーバーとはNISAの5年間の非課税期間を、さらに5年間延長する手続きです。手続きは5年目の年末の、金融機関が設定した申し込み締め切り日までに行わなければなりません。

この記事では、NISAのロールオーバーの概要や、メリットとデメリットなどについてご紹介します。

NISAロールオーバーとは

NISAは毎年120万円までの投資枠が5年間非課税になるものです。ロールオーバーとは5年目の非課税期間の満了時に、さらに5年間、非課税期間を延長する手続きです。

たとえば、2016年からNISAで投資をしてきたとします。2016年の投資については、5年間の非課税期間は2020年までです。そのまま何も手続きしないと、2021年からは課税口座に移管され、通常通り課税されます。

それに対してロールオーバーを行えば、2021年の非課税枠に移されて、さらに5年間非課税期間が延長されます。非課税での投資をさらに継続したい場合は、ロールオーバーはぜひ実施すべきといえるでしょう。

ロールオーバーをした場合、その額の分だけ翌年の非課税枠を使用することになります。たとえば、非課税期間満了時の残高が50万円であった場合、ロールオーバーするとその残高50万円は翌年の非課税枠に移されます。したがって、翌年に新規で投資できるのは、非課税枠全体の120万円からロールオーバーした50万円を差し引いた、70万円のみです。

ロールオーバーはいつまでにすればよい?

ロールオーバーの手続きは、5年目の年末の、金融機関が設定した申し込み締め切り日までに自分でしなければなりません。手続きを忘れてしまうと自動的に課税口座に移管されるので注意が必要です。NISAを始めて5年目になったら、ロールオーバーをするかどうかを検討し、余裕をもって11月くらいまでには手続きを済ませておきましょう。

ロールオーバーの手続方法は、取扱証券会社により異なります。多くの証券会社では、Webからの手続きが可能です。手続方法がわからない場合には、証券会社に問い合わせしてみましょう。

120万円を超えても可能

NISA口座は残高が120万円を超えることもあり得ます。たとえば、120万円で投資をした商品の評価額が150万円になっている、などのことがあるからです。しかし、心配はいりません。NISA口座の残高が150万円を超えている場合でも、全額をロールオーバーできます。

ただし、120万円を超える額をロールオーバーした場合、NISAの非課税枠はそれで埋まってしまうことになりますので、新規の取引はそれ以上できません。

ロールオーバーのデメリット

以上のようにロールオーバーは、非課税期間を継続できるメリットの大きい制度です。それでは、デメリットはどのようなものがあるのでしょうか。

ロールオーバーした分だけ新規の投資ができなくなる

ロールオーバーのデメリットとして第1にあげられるのは、前述のとおりロールオーバーした分だけ翌年の非課税投資枠を使うため、新規の投資ができなくなることです。

50万円をロールオーバーすれば、翌年に新規で投資ができるのは70万円まで、120万円を超える額をロールオーバーした場合には新規の投資は全くできないことになります。新規の投資をしたい場合は、ロールオーバーするかどうかを十分検討する必要があるでしょう。

損失が出ると非課税のメリットは得られない

ロールオーバーのデメリットとしてもう1つあげられるのは、損失が出ると非課税のメリットを得られないばかりか、損益通算もできないことです。

ロールオーバーのメリットは、投資の利益に税金がかからないことです。利益が出なければメリットはありません。

それどころか、NISAは損失が出ても損益通算できません。損益通算とは、利益と損失を相殺することです。NISA口座は課税口座と損益通算できないため、損失が出た場合には、全体として税金を多く支払うことになりかねません。

このようにNISAのロールオーバーは、損失が出た場合には、非課税のメリットも損益通算のメリットも得られません。したがってロールオーバーは、今後の値上がりが期待できる、あるいは値上がりはしないとしても、配当益を順調に得られることが期待できる商品に限定することが必要だといえるでしょう。

2019年以降の分は新NISAへロールオーバー可能

2014年にスタートしたNISAは、投資可能期間が2023年までとされています。そのため、「2024年以降もロールオーバーはできるのか?」と心配する方もいることでしょう。2019年に始めたNISAなら、ロールオーバーできる5年目は2023年、2020年に始めればロールオーバーできるのは2024年になるからです。

しかし、こちらも心配はいりません。2019年に閣議決定された「令和2年度税制改正大綱」において、NISAの非課税投資期間が2028年まで延長される方針が示されているからです。ロールオーバーについても現行の制度と基本的には変わらない見通しです。

ただし、2024年以降の新NISAは、積立投資と非課税投資の2階建てになるなど、現行のNISAとは制度設計が異なります。詳しくは金融機関に相談してみるのが良いでしょう。

ロールオーバーでNISAを賢く活用しよう

NISAのロールオーバーは、非課税投資期間を延長できるメリットの大きい制度です。ただし、ロールオーバーした分だけ新規投資の枠が減ること、損失が出ると非課税メリットが得られないことなどのデメリットもあります。ロールオーバーするかどうかは十分に検討し、賢くNISAを活用しましょう。

※本記事は投資に関わる基礎知識を解説することを目的としており、投資を推奨するものではありません。

Recent Posts

  • マーケットビュー

弱含みか正常化か?大局的な視点で見る世界経済

※インベスコ・アセット・マネジ…

1か月 ago
  • マーケットビュー

FRBは景気後退を回避するために金融政策を再調整

※インベスコ・アセット・マネジ…

1か月 ago
  • マーケットビュー

日本:金融市場から見た石破新政権

※インベスコ・アセット・マネジ…

1か月 ago
  • マーケットビュー

中国:広範囲の金融緩和政策とその評価

※インベスコ・アセット・マネジ…

1か月 ago
  • お金の使い方

S&P500に100万円を投資! 10~30年後をシミュレーション

S&P500と連動する…

2か月 ago
  • 資産管理

新NISAのつみたて投資枠は貯金代わりになる? 5つの違いを解説

新NISAで安定運用を目指すと…

2か月 ago