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(画像=Светлана Монякова/stock.adobe.com)

マイクロ・ロボティクスとは?どこまで小型化する?人類の未来を変えるのか?今後の動向について

ロボットの小型化、軽量化が進む中、ロボティック・インセクトやロボティック・オクトパスなど、ユニークな「マイクロ・ロボティクス(Microrobotics)技術」の研究・開発が加速しています。

実用化に成功すると、倒壊した建物の調査から危険地域での作業、医療まで、様々な分野における活用が無限大に広がりそうです。また省エネ・省スペース・省資材と三拍子そろった、「環境に優しいテクノロジー」としても注目が高まっています。

マイクロ・ロボティクス技術のメリットと活用可能性

マイクロ・ロボティクス技術とはその名の通り、極小サイズのロボットを開発するための技術です。既存のロボットやドローン、人間には不可能な、狭い場所で作業を行える点が最大のメリットです。

災害救助や建物の点検だけではなく、例えば水中の細菌を検出・浄化したり、人間の体内に侵入し、薬物を直接患部に送り届けたり、あるいは傷や疾患を発見し治療を行なったりといった利用法も考えられます。

また小型・軽量である分、稼働の際の消費エネルギーや作業地への輸送エネルギーが抑えられ、節電効果が期待できます。小さな部品で組み立てられるため、資材や廃棄物の節減にもつながります。

最新のマイクロ・ロボティクス 注目の2つの事例

現在、多岐にわたるマイクロ・ロボティクス技術の開発が進められています。今回はその中でも「実用化の可能性が高い」と注目されている、2つの事例をご紹介しましょう。

事例1. バッテリー不要 メタノールで作動する「RoBeetle」

南カリフォルニア大学が開発した自律型ロボット「RoBeetle(ロビートル)」は、重量88g、全長15㎜という極小サイズからは想像できないパワフルな動きが特徴です。

通常のロボットはモーターで動くように設計されており、モーターを動かすためにバッテリーが搭載されています。そのためバッテリー本体のサイズや重量が負担となり、ロボットのサイズや駆動時間が制限されるという難点があります。

RoBeetleはバッテリーの代わりにメタノールを動力源とすることで、長年に渡るマイクロ・ロボットのエネルギー効率というジレンマを克服しました。自身の重量より最大2.6倍の重さのモノを背中に積み、人工筋肉を使って2時間動き回ることが可能です。

この人工筋肉は、加熱すると長さが収縮するという特徴をもつ、ニッケルチタニウム合金ワイヤーでできています。ワイヤーの表面は白金粉末でコーティングされており、これがメタノールの蒸気を燃焼させる触媒の役割を果たします。RoBeetleの燃料タンクから発生した蒸気が白金粉末で燃焼すると、ワイヤーが収縮するという仕組みです。

ただし現時点におけるRoBeetleの動きは、連続的な前進動作に限定されているため、動作にバラエティーを持たせ、より有用なタスクを行えるように改良することが、実用化に向けた今後の課題です。

事例2. 折り紙にヒントを得た形状変形システム「Origami Microbot」

ミシガン大学が開発した「Origami Microbot(折り紙マイクロボット)」は、「RoBeetle」の課題解決のカギを握る、形状変形システムを採用。折り紙のように折りたたむ機能を、統合された単一のマイクロ・ロボットシステムに組み込むことで、既存のマイクロ・ロボットからは想像できない多様な動作を実現しています。

折りたたみ機能を利用した従来のマイクロ・ロボットは、熱や蒸気など外部からの刺激によって作動しますが、Origami Microbotは金の層とポリマーの層がアクチュエーター(エネルギー供給を受けて、物理動作に変換する装置)の役割を果たすため、外部からの刺激を必要としません。

具体的には、電流が金の層を通過すると熱が発生し、その熱を使ってマイクロ・ロボットの動きをコントロールします。システムを加熱することで最初の折り目を作動させ、システムを冷却することで折り目を元に戻します。折りたたんだ状態を維持したり、折りたたみ方をプログラムして静止する位置を変更したりするためには、システムを過熱します。

このように加熱・冷却を利用すれば、1つの形状を形成してタスクを完了した後、異なる形状に再構成することも可能です。体長は約1㎝で、90度以上の折りたたみが可能。折りたたむ速度も1秒間に最大80回とスピーディーです。

マイクロ・ロボティクス技術で、いずれ世界が大きく変わる?

他にも太陽電池で飛翔する、ハーバード・マイクロロボティクス・ラボラトリーの「RoboBee(ロボビー)」、スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)とチューリッヒ連邦工科大学(ETH)が共同開発した、周囲の状況に応じて形状を変化させるマイクロボなど、ユニークなアイデアが続々と生まれています。

今後さらにマイクロ・ロボティクス技術の研究開発が進むと、多様多種な用途に適したマイクロ・ロボットが登場し、いずれ世界が大きく変わる可能性があります。

例えば、高レベルなタスクに対応できるマイクロ・ロボットを、共同作業を行えるようにプログラミングすることで、大規模な調査や作業をより効率良く行えるようになります。あるいは治療や薬剤投与といった複数の医療処置を、一度に実行することも可能になるでしょう。もしかすると自動車や電化製品の修理を手がけるエンジニアリングも、マイクロ・ロボットが主流となる時代が到来するかも知れません。

現在、そして未来の社会に必須の研究分野として、マイクロ・ロボティクス技術開発は益々加速すると予想されます。投資対象としても、目が離せない分野となりそうです。

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