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世界経済の成長を丸ごと取り込める「世界分散投資」の魅力とは?

株式投資というと「日本株」を思い浮かべる人が多いと思いますが、株式投資でいいパフォーマンスを出したいと考えている場合は、視野を拡げて「世界株」にも注目してみてください。日本より成長している国や地域、堅調な株式相場があるはずです。
世界の国や地域全体の成長を長期運用成果として取り込む合理的手段でもある「世界分散投資」について解説いたします。

成長力の高い国や企業に投資することは、投資の基本

「海外株はわからないから怖い」と感じる人もいるかもしれませんが、世界に目を向けてみると日本よりも良好な実績を示す株式市場があることに気がつきます。

株価はその企業の業績によって左右されますが、企業の業績は、それぞれの企業がベースとするそれぞれの国の経済状態や世界の経済状態全体の影響を強く受けていると考えられます。
そうした観点でみると、日本より高い経済成長率を示す米国の企業の業績が良く、その結果として、NYダウが日経平均よりも高い上昇を過去30年間続けてきたという見方もできるのではないでしょうか。

日米における過去20年の名目GDP比較

実際に、2000年以降で日本と米国を比較してみましょう。日本の名目GDPは1999年の519.65兆円から2019年には557.71兆円(2019年はIMFによる2019年10月時点の推計)になりました。名目GDPの伸びは20年で7.3%増に過ぎませんでした。その間日経平均は、1999年末の1万8,934円から2019年末の2万3,656円まで24.9%の上昇でした。

一方、米国は1999年の名目GDP9.63兆ドルから2019年には21.43兆ドル(同IMF推計)まで伸び、20年で2.2倍になりました。順調に経済は成長し、同期間のNYダウは、1999年末の1万1,497ドルから2019年末の2万8,538ドルまで2.5倍になりました。

つまり、過去20年の長期の株式投資としては、経済成長が停滞している日本に投資するより、成長している米国に投資するほうがよいパフォーマンスを得られたのです。

一方、経済成長率の高さのみで、投資先の国を選ぶのは注意したほうがよさそうです。
同じ事を中国で見てみましょう。中国の名目GDPは99年の9.08兆元から19年には95.49兆元(同IMF推計)まで10.5倍になりました。米国を大きく上回る高成長です。同期間の上海総合指数は99年末の1,366.58から19年末の3,050.12まで2.2倍です。株価の上昇率は米国に劣っています。このことから、単に経済成長の高い国や地域にさえ投資すればいいというものではないことが分かります。

景気の戻りが大きい国に分散投資することも、一つの手法

では、どのように国を選べばよいのでしょうか?ヒントは運用のプロである機関投資家の投資方法にあるようです。
機関投資家の多くはリスク分散のために、特定の国に集中して投資するというよりは、世界中の株式に投資するケースが多いのですが、その際、世界の株に投資しており、世界の株式投資の配分比率(アセットアロケーション)を決めるために、地域別や国別の経済成長率を投資の判断材料の一つにするケースもあります。

IMF(世界通貨基金)が世界の経済見通しを出しており、年に4回見直しすることもあって、多くの機関投資家が参考にしており、経済成長の高い国や地域やモメンタム(方向性)が上がってきている国や地域について着目しています。

IMFによる2020年6月の経済見通しは、新型コロナウイルスの影響のために大きく修正されました。2020年の世界の経済見通しは、3月時点の3.0%減から4.9%減に下方修正。2021年は回復する見通しですが、5.8%増から5.4%増に下方修正されました。日本は、2020年が5.8%減とほかの先進国(米国8.0%減、ユーロ圏10.2%減、イギリス10.2%減)よりは落ち込みは小さいのですが、2021年の戻りは2.4%増という見通しです。

新型コロナウイルスの影響で世界の株価は乱高下しています。コロナショックで下げ、来年の経済回復を期待して戻ったのです。したがって、焦点を2021年の経済成長にすると、IMFの2021年の見通しによると世界が5.4%増、先進国が4.8%増、新興国が5.9%増です。国別では、米国は4.5%増、ユーロ圏6.0%増、中国8.2%増です。日本の2021年の2.4%増という反発力はスローだというのがIMFの見方なのです。

株式市場が来年の回復を見込んでいるのだとしたら、日本株だけを買うのはリスクがあるかもしれません。安定性をある程度担保しつつ、積極的に株式投資で利益を確保したい場合は、日本株だけでなく景気の戻りが大きい欧米などに海外分散投資するのも一つの手法なのではないでしょうか。

世界の経済成長を取り込める「世界分散投資」は、リスク分散のためにも有効だと言えそうです。

日経平均の代わりに世界株指数をウオッチ

世界全体の株式市場に目を向けることは大切なことです。特定市場だけを見ているとリスク管理の観点からは好ましくないことがご理解いただけたと思います。ただ、日経平均やNYダウは簡単に動向が見えるのに対して、「世界株」は上がっているのか下がっているのかチェックしづらいので、世界株指数の見方をお教えましょう。

世界株指数はいくつかありますが、先進国の株式市場の動向を知るために最も利用されている株価指数の一つが「MSCIワールドインデックス」です。日本を含む主要国の株式を対象とする指数で、先進国23カ国に上場する1,637社の大・中型株を対象にしています。世界の指数を提供しているMSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)社が算出・公表しています。世界の株式に分散投資するタイプの投信やETFの多くがこの指数をベンチマーク(指標)としています。

値動きやチャートは海外資産や為替で定番の下記サイトを参照するといいでしょう。
Investing.com (https://jp.investing.com/indices/msci-world)
CNBC (https://www.cnbc.com/quotes/?symbol=.WORLD)

ちなみに、世界株指数として「MSCI KOKUSAI指数(MSCI コクサイ指数)」というのがありますが、これはMSCIワールドインデックスの23カ国から日本を除いた指数です。

世界分散投資の有効性

では、実際に、リスクを分散しながら株式のリターンを追求する方法として、世界の主要国の株式に分散投資する方法は有効なのでしょうか?
MSCIワールドインデックスの過去の実績をみると、過去1年のパフォーマンスは、コロナショックがあったため▲7.36%ですが、3年では6.30%、5年では5.54%、10年では10.36%と良好なパフォーマンスを安定的に出している結果となっています(2020年5月末時点)。
このことから、世界の主要国の株式に分散投資する方法は、長期で資産形成をするうえで有効な手法の一つと言えそうです。

世界経済は今後も成長していくことが予想されています。日本の資産にのみに固執せず、その恩恵を取り入れるため、「世界分散投資」を考えてみるのもよいかもしれません。

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