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将来が不安なご夫婦へ:まず始めるべきライフプランニングと家計管理

将来が不安なご夫婦へ:まず始めるべきライフプランニングと家計管理

世界的な政治リスクやインフレなどから将来に対する不透明感が高まっています。私は将来不安への一つの大きな解決策として、夫婦共働きを提案しています。二人で働いていれば、AIの進展によっていくつかの職がなくなったとしても、どちらかが雇われているという可能性は高まります。当然ですが、収入も増えますし、お互いに正社員ならば、将来の年金や退職金が増えるということも考えられます。収入が増えるため貯蓄もしやすくなり、資産も増えます。まとまったお金があれば、資産運用をしたり、独立・起業を試みたりと前向きな挑戦がいくつもできるからです。

ライフプランニングの重要性:人生の三大支出を知る

ライフプランニングを早期から立てることは非常に重要です。目の前の支出を何となくこなしているカップルと、計画的に人生設計をしているカップルとでは20年、30年後に大きな資産の差が生まれている可能性があるからです。ここでは、人生にかかる支出と生涯年収について考えてみましょう。

① 子どもの教育費

子ども一人あたりにかかる幼稚園から大学までの教育費はオール公立の場合で約1,000万円、オール私立の場合で約3,000万円といわれています(文部科学省データ等より)。養育費などを加えると更にお金がかかります。

② マイホームの購入費用

また、マイホーム購入費用は多くの方にとって一生で一番大きな買い物と言われています。土地付き注文住宅の全国平均は約4,903.4万円、首都圏の場合は約5,682.1万円です(2023年度フラット35利用者調査)。その他の購入時の費用として、諸費用(税金、ローン関係費用、各種手数料など)が物件価格の5%〜10%かかります。ランニングコストとしては、修繕費や固定資産税(固定資産税評価額に1.4%の税率で算出)などがかかります。マンションの場合は、これに加えて管理費も必要です。

③ 老後の生活費と年金

また、2019年以降に「老後2,000万円問題(金融庁:金融審議会「市場ワーキング・グループ」報告書)にて発表された」がメディアで話題となったこともあり、若年層の間でも老後が不安という方は多いものです。

日本の厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)は23万2,784円です(厚生労働省 令和7年度)。これに対して、無職の65歳以上夫婦の消費支出は26万5,898円です(家計調査2024年)。標準的な年金額から、平均的な支出を引いた差額は3万円程度です。この標準モデルは夫が会社員で妻が専業主婦のモデルです。夫婦共働きで会社員の場合、厚生年金の部分が増えるので、32万円程度となります。共働き世帯も日本では増え、これくらい世帯で年金があれば最低限の老後生活を年金だけでおくれるかもしれないと感じるかもしれません。

子供の教育費、住宅取得、老後資産形成についてのテーマは夫婦で話し合い早期から問題に取り組むべきです。

共働きの収入インパクトと潜むリスク

人生において、かかるお金も多いですが、共働きで入ってくるお金も多いのです。退職金や年金を除いた生涯賃金は大卒男性の場合は約2億8,000万円、大卒女性の場合は約2億3,000万円です(ユースフル労働統計 労働統計加工指標集 2024)。夫婦共働きなら約5億円もを稼ぐことができ、ゆとりあるライフプランを組むことができるようになります。

インフレによる「お金の価値の目減り」に注意

ただし、収入が多い共働きカップルも油断は禁物です。インフレ経済では、不動産価格や物価が上昇し続け、貨幣の価値や将来もらえる年金の実質的な価値が目減りするリスクがあるからです。額面通り年金がもらえたとしても、インフレと円安で実質的な生活の豊かさが損なわれる可能性があります。インフレに負けないために、年金に100%依存することは避け、資産運用をしてお金を守る必要があります。世界的な富裕層にとっての運用目的はお金を増やすこと以上に資産を目減りさせない、将来のお金の価値や豊かさを守るためだったりします。

忙しい夫婦におすすめの資産運用

共働きで忙しい夫婦には、プロにお任せする資産運用を検討してみるのが良いでしょう。たとえば投資信託を活用すれば、少額から世界中の株式や債券などに分散投資ができます。

資産運用を始める際の注意点

資産運用を始める際の注意点はリスク管理と分散投資です。生活費や数年後に必要となる子供の教育費など、ライフプランのために使う予定のあるお金は資産運用に回すべきではありません。資産運用はあくまでも余裕資金で行いましょう。

また、「卵は一つのカゴに盛るな」という格言は、資産運用における分散投資の重要性を表します。全ての卵を一つのカゴに盛ると、そのカゴを落とした時に全ての卵が割れてしまう危険があるからです。

今日からできること

共働き夫婦が今日から取り組めることとして、まずは夫婦でライフプランについて話し合うことが大切です。週末など空いた時間があるときにお金や将来のことを話し合う時間を作りましょう。

次に、銀行口座やクレジットカード明細で支出の状況を把握しましょう。共働き夫婦の落とし穴としては、忙しさに追われて支出が膨らみがちなところがあります。さらにNISA口座やiDeCoなど現在行っている資産運用の状況を1年に一度は見直してみましょう。特定の銘柄や国に資産が偏りすぎている場合は、銘柄の分散や地域の分散を検討します。

もし、まだ資産運用を始めていない場合は、証券口座の開設から始めてみましょう。

※本記事は投資に関わる基礎知識を解説することを目的としており、投資を推奨するものではありません。
※本稿は著者の見解に基づくものであり、Wealth Roadの運営会社の見解を示すものではありません。


著者:花輪陽子(ファイナンシャル・プランナー(FP)、貯金評論家)
CFP認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士など多数資格を保有。外資系投資銀行を経てFPとして独立。「ホンマでっか!?TV」等のテレビ出演、講演も多数。2015年から生活の拠点をシンガポールに移し、シンガポールのファミリーオフィス等でウェルスマネジメントに従事。主な著訳書に『世界標準の資産の増やし方』『ジム・ロジャーズ大予測』 (ともに東洋経済新報社)などがある。

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